半世紀後、我々を知らない手にまで製品が渡り歩くモノづくり

31歳、元工業デザイナーの肩書きを持ち、製作にも自ら携わるMakinoゴルフ代表の野村は意気込む。数多くの職人を育て上げた、国産ゴルフクラブ誕生の地である兵庫県は市川町にてクラブの設計や製造を一から学んだ野村のゴルフとの出会いは古く、父親に連れられた4歳の頃だ。

ゴルフと並行して幼少の頃から手先の器用さも表れており、何か物を作るという事に非常に長けていたそうだ。そんな野村はゴルフを通じ、同じく市川町にて異色の経歴を持った機械加工業を営む品川と出会い、世界に通用する唯一無二のパター作りを持ち掛ける。

グローバルな支持を集める唯一無二なMA3とは

品川の加わりにより硬派なマッスルバックアイアンのみを販売していたMakinoの中に誕生したのが、MA3(ModalArchitex)という世界に売り出すきっかけを作ったクリエィティブで奇抜なラインだ。その名の通りMA3 は、機械用語で制御を表すModalと、反対に創造を示すArchitex (architects)を組み合わせた、モノづくりの大前提である試行錯誤をテーマとしている。その製品はどれも芸術的な魅力を誇っているが、手に取ればどこかストイックなゴルファーの佇まいが感じられ、「クラブにゴルフをさせるな」というアスリートゴルフファーストなMakinoのDNAが基本となっている。

MA3を創り出す異色のケミストリー

異色の肩書きを持つ代表の野村と同じく、機械加工のプロである品川の前職はなんと欧州の大手ファッションハウスの元MD(マーチャンダイジングディレクター)という驚きの経歴の持ち主だ。人生の第二章として家業の機械加工業を引き継いだ品川は、日本ではまだ浸透の浅い協働ロボットを積極的に取り入れ、今では欧州機械メーカーのゲストスピーカーとしての役割をもこなすバイタリティ溢れる人物である。そんなクリエイティブな背景を持つ二人は、ゴルフという共通の情熱を通してそれぞれの領域である芸術と機械加工の融合を日々具現化しており、ここで作り出された製品が一般的なゴルフクラブとは一味も二味も違っている事は誰にでも分かる。